特定技能

カテゴリー : 特定技能
2023年08月20日

特定技能とは?

特定技能は在留資格のひとつで就労系の在留資格です。近年、新しく追加された在留資格になります。

特定技能の追加された意義は、以下の通りです。

中小・小規模事業者を含む多くの分野で人手不足が深刻化しており、国内経済や社会の持続可能性に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、生産性向上や国内人材確保の取り組みにもかかわらず、特定の産業分野では依然として人材不足が続いています。こうした状況に対処するため、即戦力となる専門的なスキルを持つ外国人労働者を受け入れる仕組みとして、特定技能制度が導入されました。

上記に記載している通り、人材不足の特定の産業分野に対して整備された在留資格です。

現在、特定技能として認められた分野(特定産業分野といいます。)は12分野あります。

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
  • 建設
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 外食業
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業

特定技能1号と2号について

特定技能には、特定技能1号と2号があります。

それでは、1号と2号の違いについて説明します。

特定技能1号

○ 在留期間:1年、6か月又は4か月ごとの更新、通算で上限5年まで
○ 技能水準:試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)
○ 日本語能力水準:生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認(技能実習2号を
修了した外国人は試験等免除)
○ 家族の帯同:基本的に認めない
○ 受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象

となっています。

特定技能2号

○ 在留期間:3年、1年又は6か月ごとの更新
○ 技能水準:試験等で確認
○ 日本語能力水準: 試験等での確認は不要
○ 家族の帯同:要件を満たせば可能(配偶者、子)※親は不可
○ 受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象外

特定技能の構成

では次に特定技能についての構成について説明します。

  • 特定技能外国人
  • 受入れ機関
  • 登録支援機関
  • 分野別協議会(協議会)

特定技能は原則は上記の4つで構成されています。以下で詳細に説明していきます。

特定技能外国人を雇用する際に必ず耳にする用語ですので、覚えておきましょう。また、以後の解説では上記の用語を使用します。

特定技能外国人

特定技能外国人とは、在留資格「特定技能」を所有する外国人のことです。「特定技能」の在留資格を取得する前提として特定技能試験、日本語試験に合格する必要があります。

※技能実習2号から移行する場合、試験は免除される。

受入れ機関

聞きなじみのない用語ですが、単純に特定技能外国人を雇用する企業のことです。特定技能外国人を雇用する際には、様々な基準や義務が定められています。基準や義務に関しては後々解説いたします。

登録支援機関

受入れ機関は、特定技能外国人への支援を実施しなければなりません。ただし、その支援業務については、登録支援機関に支援計画の全部又は一部を委託することもできます。
登録支援機関に支援計画の全部の実施を委託した場合は、受入れ機関が満たすべき支援体制を満たしたものとみなされます。

特定技能外国人の支援の解説については後述いたします。

登録支援機関になるためには、受入れ機関と業務委託のための契約を結び、出入国在留管理庁長官の登録を受ける必要があります。その他受入れ機関と同様に、登録を受けるための基準と義務があります。

登録を受けるための基準と義務の解説については後述いたします。

登録支援機関が受けた支援業務の再委託は認められていません。

分野別協議会

特定技能外国人を受け入れる全ての受入れ機関は、特定産業分野ごとに分野所管省庁が設置する協議会の構成員になることが必要です。

協議会は、分野所管省庁、受入れ機関、業界団体その他関係省庁等で構成されます。

活動内容として以下のようになっています。

○ 特定技能外国人の受入れに係る制度の趣旨や優良事例の周知
○ 特定技能所属機関等に対する法令遵守の啓発
○ 就業構造の変化や経済情勢の変化に関する情報の把握・分析
○ 地域別の人手不足の状況の把握・分析
○ 人手不足状況、受入れ状況等を踏まえた大都市圏等への集中回避に係る対応策の検討・調整(特定地域への過度な集中が認められる場合の構成員に対する必要な要請等を含む)
○ 受入れの円滑かつ適正な実施のために必要なその他の情報・課題等の共有・協議等 等

特定技能外国人の受け入れから4ヶ月以内に加入しておく必要があります。機関が定められていますので、受入前から準備をしておきましょう。

また、以下の2分野は出入国管理庁への在留資格申請の前に手続きが必要です。

  • 素形材産業・産業機械製造業・電気電子情報関連産業
  • 建設

※建設分野では在留資格申請前に建設技能人材機構(JAC)への加入が必要です。これは、建設業の協議会のようなものです。

特定技能外国人の雇用について

特定技能外国人になるには?

「特定技能1号」「特定技能2号」いずれも各特定産業分野の試験に合格する必要があります(「特定技能1号」は日本語試験にも合格する必要があります)。

試験は国内、または外国でも行われています。この試験に合格しなければ、特定技能という在留資格は取得できません。


また、技能実習2号を良好に修了した技能実習生は、技能実習2号移行対象職種と特定技能1号における分野(業務区分)との関係について関連性が認められる場合、試験が免除されます。

実際に特定技能外国人を雇用するには

では実際にどのように特定技能外国人を雇用すればいいのでしょうか。

特定技能外国人をを雇用しようとする企業は直接採用活動を行うか、国内外の職業紹介機関を活用し、採用活動を行うことになります。国内での募集であれば、ハローワーク等を通じて採用することも可能です。逆に外国からの採用を考えられている企業は現地まで赴いて雇用の促進をすることもあります。


また、出入国在留管理庁では、「特定技能」での就労を希望する外国人と、特定技能外国人の雇用を希望する企業に対するマッチング支援として、随時国内マッチングイベントを開催しています。イベントの情報については、出入国在留管理庁 HP 及び特定技能総合支援サイトに掲載しています。

特定技能外国人を雇用にする際の企業の注意点

特定技能外国人を受け入れるためには、省令等で定められた基準を満たす必要があります。

特定技能制度の特徴の一つとして、※1受入れ機関は、雇用した1号特定技能外国人に対して日本で生活するために各種支援を実施する義務があります。

では実際にどのような基準や義務があるのでしょうか。

※1 特定技能外国人を雇用する企業のことを受入れ機関と呼びます。

1.受入れ機関が特定技能外国人を受入れるための基準

(1)外国人と結ぶ雇用契約が適切であること
○ 特定技能外国人の報酬の額や労働時間等が日本人と同等以上 etc…
(2)受入れ機関自体が適切であること
○ 法令等を遵守し「禁錮以上の刑に処せられた者」等の欠格事由に該当しないこと
○保証金の徴収や違約金契約を締結していないこと etc…
(3)外国人を支援する体制があること
(4)外国人を支援する計画が適切であること

これらの基準を満たしているかは、入管への提出書面で証明します。例えば、「(1)外国人と結ぶ雇用契約が適切であること」の証明であれば、雇用契約書を入管へ提出し審査されます。

また、「(4)外国人を支援する計画が適切であること」は受入れ機関、または※2登録支援機関が作成した支援計画を提出し審査されます。

※2 登録支援機関とは、受入れ機関からの委託を受け、特定技能1号外国人の活動を安定的かつ円滑に行うため、支援計画の作成、実施を行う機関になります。詳細は後述します。

2.受入れ機関の義務

(1)外国人と結んだ雇用契約を確実に履行すること
(2)外国人への支援を適切に実施すること
(3)出入国在留管理庁及びハローワークへの各種届出
特定技能外国人の受入れ後は、受入れ状況等について、地方出入国在留管理局及びハローワークに定期又は随時の届出を行う。

(3)出入国在留管理庁及びハローワークへの各種届出について

受入れ機関・登録支援機関は、出入国在留管理庁長官に対し、各種届出を随時又は定期に行わなければなりません。

受入れ機関が届出の不履行や虚偽の届出といった違反が発覚した場合、指導・罰則の対象となります。登録支援機関についても、指導や登録の取消しの対象となりますので、きちんと届出を行いましょう。

①受入れ機関の届出
○ 随時の届出
・特定技能雇用契約及び登録支援機関との支援委託契約に係る変更、終了、新たな契
約の締結に関する届出
・支援計画の変更に係る届出
・特定技能外国人の受入れ困難時の届出
・出入国又は労働関係法令に関する不正行為等を知った時の届出
・外国人を雇い入れた時または離職した時に氏名や在留資格等の情報を届出(地方出
入国在留管理局でなくハローワークに届け出ること
○ 定期の届出
・特定技能外国人の受入れ状況や活動状況に関する届出
・支援計画の実施状況に関する届出

「支援計画の変更に係る届出」や「特定技能外国人の受入れ困難時の届出」は知識がないと忘れてしまいます。もし、何か些細なことでも特定技能外国人に対する変更があった場合は、入管に届出の有無を確認することが大切です。

「外国人を雇い入れた時または離職した時の届出」は「雇用保険被保険者となる外国人の届出」と「雇用保険被保険者とならない外国人の届出」では別の届出をしなければならないので注意しましょう。

●雇用保険被保険者となる外国人の届出

 ・雇用保険被保険者資格取得届

 ・雇用保険被保険者資格喪失届

届出期限は、雇用保険被保険者資格取得届又は雇用保険被保険者資格喪失届の提出期限と同様です(雇入れの場合は翌月10日までに、離職の場合は翌日から起算して10日以内)。

●雇用保険被保険者とならない外国人の届出

 ・外国人雇用状況届出書

外国人雇用状況届出書を提出してください。届出期限は、雇入れ、離職の場合ともに翌月末日までです。